クルマの「デザイン」だけにフォーカスした賞があるって知ってた?

Mar 31,2017report

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Mar31,2017

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クルマの「デザイン」だけに フォーカスした賞があるって知ってた?

文:
TD編集部

毎年様々なデザインの新車が生み出されるが、純粋に「カーデザイン」だけにフォーカスして専門家が集まり、評価する取り組みが毎年行われていることを、あなたはご存知だろうか?

車の賞典といえば「日本カー・オブ・ザ・イヤー」を思い浮かべる方も多いだろう。この賞が総合的に秀でた車を選出するのに対し、この賞とは違った観点――その年最も優れた「カーデザイン」を表彰するのが今回ご紹介する「日本カーデザイン大賞」だ。

2016-2017の受賞車が決定し、2017年1月21日に授賞式が行われた。なお、これまでカーデザインの専門誌「カースタイリング」が主催してきた同賞だが、より認知を広げていくために、今回より「日本カーデザイン大賞実行委員会」が主催する形に変更。株式会社トゥールズインターナショナル代表取締役社長の下倉健太郎氏、同社顧問の木村和夫氏、カーデザイナーの根岸秀孝氏、カースタイリング誌編集長の松永大演氏、カースタイリング出版社長の藤本彰氏の5名をコアメンバーとした新体制になった。2016 – 2017年の日本カーデザイン大賞の選考委員は14名。

日本カーデザイン大賞実行委員会:左から下倉氏、藤本氏、木村氏、根岸氏

コアメンバーの一人、藤本彰氏には以前、TDのインタビューでも同賞誕生のきっかけについてお話しいただいた。今回の授賞式にあたっては、改めて以下のように語ってくださった。

― 33年前に制定されたこのカーデザイン賞は、自動車メーカー各社のデザイナーやモデラーの皆さんが切磋琢磨する目標であるばかりでなく、一般消費者の皆さんが優れたカーデザインとはどのようなものかを認識するための拠り所となればと願って創設されました。

 自動車のデザインは時代ごとに重視するテーマが変化するものですが、その中にも普遍的な美が存在します。時代が要求する要素を取り入れながら、誰もが美しいと感じ、すぐれた機能を備えた車を消費者は望んでいるはずです。その優劣を見極めるための道標のひとつがこのカーデザイン賞といえましょう。当初は日本車のデザインを欧米の車と比肩するまでに育てることがこの賞の第一目標でしたが、1980年代後半あたりから海外で日本車のデザインが高く評価されるようになり、それならば同じ土俵でと、現在は量産車部門も研究者部門も世界規模での候補車選びに移行しています。(※海外ではモデリングの手法がクレイに限られていないため、クレイモデリング大賞については日本車に限定)

 日本カー・オブ・ザ・イヤーも元来はモーターファン誌が10年間主催していたものを、より多くのメディアが参画できるように組織変更したことで現在の姿に発展しました。この日本カーデザイン大賞も、今後、より多くのメディアに参画していただき、大きな賞典に発展するよう願っています。

2016 – 2017年の日本カーデザイン大賞の選考委員は次の通り。

・山口 京一(オートモーティブジャーナリスト)
・青戸  務  (カーデザイナー、大学講師、選考委員長)
・有元 正存(デザイン&オートモーティブジャーナリスト)
・栗原 典膳(カーデザイナー、デザインインストラクター)
・児玉 英雄(カーデザイナー)
・佐藤 敏明(プロダクトデザイナー、NEC所属)
・牧  清和  (コーチビルダー)
・古庄 速人(デザインジャーナリスト、司会進行補佐)
・浅野 卓也(ポリフォニー・デジタル)  
・東  大輔  (久留米工業大学 大学院教授)
・稲田 真一(武蔵美術大学 工芸工業デザイン教授、JAHFAイヤー賞選考委員)
・片岡 祐司(名古屋芸術大学 カーデザインコース教授)
・谷川 憲司(静岡文芸大学 プロダクトデザイン教授)
・森口 将之(デザインジャーナリスト、NCOTY及びGマーク選考委員)
(順不同・敬称略)

※今回は山口京一氏の欠席により、青戸務氏が選考委員長を務めた。

量産車・コンセプトカー・クレイモデリングの3部門で「優れたデザイン」を決定!

日本カーデザイン大賞は量産車部門、コンセプトカー部門の2部門で選出されるほか、クレイモデリング大賞も同イベント内で決定される。それぞれ「ゴールデンマーカー・トロフィー」「ゴールデンクレイ・トロフィー」が贈呈される。

このほかゴールデンマーカー・トロフィーとは別に「作り手の狙いが注目されるしたたかなデザイン」に対して贈呈されるブラックマーカー・トロフィーというものもあり、過去にはトヨタ・カリーナED, トヨタ・オーパが受賞している。またゴールデンマーカー特別賞もあり、カーデザイン界に貢献した人々に贈呈される。ゴールデンクレイ特別賞は故・安藤純一氏に没後贈られた。

2016 – 2017年は、ゴールデンマーカー賞・量産車部門にシトロエンC4カクタス、コンセプトカー部門にジャガーI-PACEコンセプト、そしてゴールデンクレイ賞にトヨタ プリウスが選ばれた。TDでは、選考委員長を務めた青戸務氏への独自取材を決行。受賞の裏側や、それぞれのカーデザインについての青戸氏の分析を次回以降、お伝えしていこう。

 

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