【Sneak preview】代官山 蔦屋書店 モーニングクルーズ誕生秘話

Jan 11,2019interview

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Jan11,2019

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【Sneak preview】 代官山 蔦屋書店 モーニングクルーズ誕生秘話

文:
TD編集部 青柳 真紗美

来週から前後編でお届けするインタビューは、代官山 蔦屋(つたや)書店「クルマ・バイクコーナー」のクルマ・バイクコンシェルジュこと、清野龍太(せいの・りゅうた)さん。代官山 蔦屋書店では、毎月第2日曜の朝にテーマを決めてクルマユーザーが集まる「モーニングクルーズ」というイベントを開催している。清野さんが企画したこのイベント、開催回数は70回を突破し、累計5000台以上のクルマが参加したという。今回は予告編として、代官山 蔦屋書店とモーニングクルーズについてご紹介。

クルマとバイクに興味がなくても吸い込まれる場所

「書店で本が売れない時代」と言われて久しいが、この流れに対抗するように新しいコンセプトの本屋への視線が集まっている。おなじみのヴィレッジヴァンガードをはじめ、下北沢のB&B六本木の文喫など、個性的な店が増えるのは利用者としても嬉しい。
代官山 蔦屋書店」はその先駆けの一つとして挙げられるだろう。
この書店がある「DAIKANYAMA T-SITE」は代官山駅から徒歩5分ほど、旧山手通り沿いに位置している。T-SITE内には蔦屋書店のほか、レストランやカメラ店、輸入自転車店、子供向けの輸入玩具店などが入っており、様々なライフスタイルが提案されている。

今回はそんな蔦屋書店内の「クルマ・バイクコーナー」でクルマ・バイクコンシェルジュとして様々な企画を手がける清野龍太さんにお話を聞いてきた。

筆者が代官山 蔦屋書店の「クルマ・バイクコーナー」に興味を持ったきっかけは、同所で2018年5月に行われたマクラーレンの展示に訪れたこと。大のマクラーレンファンの息子を連れて第二世代の720Sと520Sスパイダーを見に行ったのだ。

この時に初めて「クルマ・バイクコーナー」の売り場に足を踏み入れた。
まず驚いたのが品揃えの豊富さと展示のユニークさだ。専門誌のバックナンバーや実用書をはじめ、国内外のクルマの写真集はもちろん、変わったところだと今はもう製造されなくなったクルマのサービスマニュアルやメンテナンスのための説明書、整備書などまで取り扱われている。
他にもポスターやステッカー、ミニカーやレプリカなどのインテリア雑貨が置いてあったり、スーパーカーやアンティークカーのパーツがそのまま展示されていたりする。

スーパーカーから三輪車まで「タイヤが付いているものはなんでも好き!」な息子と違い、筆者は実はそれほどクルマやバイクに興味があるわけではない。
だから専門誌や実用書が並ぶ一般的な大型書店のクルマ・バイクコーナーにはあまり立ち寄る機会はなかった。しかしそんな私でさえこの売り場に吸い寄せられ、息子とともに30分ほどの時を過ごした。

ここは、ただの本屋じゃない。
そんな予感は、代官山 蔦屋書店「クルマ・バイクコーナー」のFacebookページを発見して確信に変わった。

「クルマ・バイクコーナー」のFacebookページのフォロワーは1万人以上。毎週更新されており、定期的に個性的なイベントが実施されている。
中でもひときわ目を引くのが毎月第2日曜日に開催されている「モーニングクルーズ」というイベントだ。

日曜の早朝に集まる50台以上のクルマ

「モーニングクルーズ」は、設定されたテーマに沿ったクルマを持つユーザーたちが集まり、ゆるく交流するというコンセプトで開催されている。
直近では2018年12月23日に「Rolls-Royce&BENTLEY」というテーマで開催された。クラシックカーのラインナップが多いイメージだがそれだけではない。この週末、2019年1月13日には「平成元年生まれのクルマ」というテーマでのモーニングクルーズが予定されている。

開催日には参加するクルマのオーナーだけでなく、訪れたギャラリーの人たちにも7時から9時までは駐車場が無料で開放される。
これまでに70回以上開催されており、参加したクルマの累計はおよそ5000台を超えるという。そのほかにもF1レーサーのトークショーなど、クルマ好きにとってはたまらないイベントが企画されてきた。

モーニングクルーズ「Rolls-Royce&BENTLEY」の時の様子
(写真提供:蔦屋書店 代官山 クルマ・バイクコーナー)

このモーニングクルーズ、「書店なのに本を売るイベントではない」というところが面白い。
書店イベントといえば著者の新刊発売記念トークショーやサイン会などが多く、書籍に関連しないイベントをこれほどの頻度で続けている書店は他には類を見ない。

このクルマ・バイクコーナーは、書店の「売り場」という機能を大きく飛び越えて、あるコミュニティの「基地」や「部室」のような存在になっているのではないか。
そんなことを考えていくと、これらのコミュニティがどのように始まったのか、人を惹きつける企画が一体どのように生み出されているのか、中の人は何者なのかが気になって仕方なくなった。

「コミュニティ」を運営するすべての人に

来週から前後編でお届けするインタビューでは、モーニングクルーズ立ち上げの経緯から、「中の人」こと清野さんの半生、ファンを作る企画の生み出し方、SNS運用で気をつけていることまで、聞きたかったことを全て聞いてきた。

毎回平均して70台ほどのクルマが集まるというが、集客はほとんどがFacebook経由。
清野さんは売り場を訪れる常連顧客と「メシを食いに行く」こともあるという。そんな信頼関係はどのようにして築くのか、企画の中で大切にしていることは何かなど、本音で語ってもらった。

今回のインタビューはむしろ、ヴィンテージカーなどのクルマ愛好家たちだけでなく、顧客のコミュニティ化やファン化に取り組むビジネスパーソンやPRパーソンに読んでもらいたい。地方創生やまちおこしにかかわる人にもきっと参考になるだろう。
また、書店に限らず、専門店の経営者には必読の内容だ。
ぜひ楽しみにしていてほしい。

代官山 蔦屋書店 モーニングクルーズ誕生秘話(前編)』は1月18日(金)の更新予定です。

 

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