初めての作品展覧会。訪れた人の数は……?
はい。クオリティの高い作品が生まれて数も多くなったので、せっかくだから発表したいなと思い、97年に展覧会をすることにしたんです。
場所としてはギャラリーを使うのではなく、より作品を体感できる場の方がいいと思ったのでギャラリー併設の知り合いのカフェを使わせてもらいました。もともとカフェにあった家具・照明などを全部外して、自分たちの作品に入れ替えて空間全体で展示をしました。シェフもいたので、メニューも入れ替えて。でも、ちゃんと人が来てくれるかなと少し不安でした(笑)。

初めての展覧会で、なんと3〜4時間に約300名のお客さんが来てくれたんです。さらに「この家具はいくらですか?」と聞いてくれる方もいて……。作ったからには売りたい気持ちはあったんですけど、まさかそんなにいい反響があるとは、という感じでした。最初は驚きましたが、本当に嬉しかったです。世の中新しい波が来ているなと感じました。
この展覧会が終わって、メンバーとも話してショップを持つことに決めました。
とはいえ、みんな修行の身だったり仕事をしている身だったりしたので、最初は2人だけgrafとして独立してやってみよう、と実験的にスタートしました。
しばらくしたら家具の受注が増えてきたので、家具職人のメンバーも会社を辞めてgraf一本になって。2年目で6人全員が他の仕事を辞めて生活できるようになりました。
最初から儲かるわけもないので、生活はとても厳しかったです。ただ、grafにはシェフがいたので、試作を兼ねて1日1人200円で料理を作ってくれました。彼がいなかったら僕らは生きていなかったと思います(笑)。
楽しかったですよ!
1階工場、2階事務所、3、4階が住居というビルに、6人で共同生活していました。
この2年間が、僕らの思想を育てていく良い時間だったと感じています。


