初のメディア掲載はイギリスのwallpaper
そんな生活を6人でしていたら、突然イギリスの『wallpaper』という雑誌から取材の依頼が来たんです。
grafのショップ自体は、自分で言うのもアレですが、よくできていたと思います。当時は南堀江の雑居ビルに構えていたんですが、インテリアを綺麗に施して自分たちが作った商品と、セレクトした商品を販売していました。
だけど突然、海外の有名な雑誌に取り上げてもらえるなんて、正直驚きました。電話口で「京都に取材に行くので、大阪の君たちのショップにも行っても良いか？」と言われて。
よくよく考えるとE＆Yの中牟田さんが言ってくれたのかなと。そんなこと言う人じゃないと思うのですが、おそらく彼が、wallpaperに「京都に行くなら、大阪の彼らのところにも寄ってみて」と話してくれたのではないかと思っています。
それで、取材していただき京都 たち吉さんとgrafの商品が一緒に2000年9月の号に掲載されました。ちなみに、その1つ前の号では安藤忠雄さんが1ページ載っていました。安藤さんの時は日本人が初めてwallpaperに載った号になります。
さらに2002年の8月の号でも僕らgrafについて、今度は4ページも載せてもらったんです。
安藤忠雄さんが1ページで僕らは4ページ！ 20代のペーペーでしたが、その時はテンションも上がり、調子に乗りました（笑）。そこからCasa BRUTUSとか日本の雑誌が取材に来てくれるようになりました。
なによりもユニークなのは「異業種が集まったグループであること」
grafを立ち上げる前から、ロンドンへちょくちょく行っていたのでこの雑誌の存在は知っていました。ライフスタイルを1冊にまとめるというコンセプトで、カテゴリーも様々。プロダクト、建築、料理、旅、ファッション、政治みたいなものまでコンテンツとして入っています。
そんな雑誌が90年代始めに創刊されたと知って、grafのことを理解してくれそうだと思っていたんですが……。まさか本当に取材してもらえるなんてびっくりでした。
彼らは僕らのグラフィックやプロダクト、空間設計についても取り上げてくれたけど、なにより、グループがユニークだと評価してくれました。当時は異業種が集まったユニットがいなかったので。イギリスにもTOMATOっていうグラフィックの集団はいるけど、grafみたいな集団はいなかったんですよね。
翌年また「私たちの生活を変えてくれる10人のクリエイター」として書いてくれたんです。面白かったのは選出のラインナップで、他は哲学者とか地質学者とか科学者だったりするのに、ものづくりの集団として僕らgrafも紹介してもらったんです。その時はもう、ウキウキでした（笑）。僕ら、こんなに評価高いんやって、素直に嬉しかったです。
wallpaperの方に、ロンドンでも仕事したいと思っていると伝えたら「支援するからおいで」と言ってくれて。2000年にロンドン事務所を設立して、インテリアデザインやwebデザインの仕事をしていました。
そんなこんなでヨーロッパでの人脈も広がり、grafのプロダクトも、流通に乗るとすぐイギリスでも販売、ということができるようになりました。
