UXのタテヨコナナメvol.1UX検定の発起人&『ジャーニーシフト』の著者、藤井保文さんに聞いてみた

Dec 23,2022interview

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Dec23,2022

interview

UXのタテヨコナナメvol.1 UX検定の発起人&『ジャーニーシフト』の著者、 藤井保文さんに聞いてみた

文:
TD編集部 青柳 真紗美

「結局のところ、UI/UXってなんですか?」シリーズを通じてUXの奥深さにふれ、デザインだけでなくビジネスやアカデミック領域からもUXを考えてみたい、とふわっとスタートした新連載。第1回は「UX検定」の発起人でもある藤井保文(ふじい・やすふみ)さんとお話ししてきました。
藤井さんは累計22万部の『アフターデジタル』シリーズの著者であり、12月19日には新時代のUXを考察する新刊『ジャーニーシフト デジタル社会を生き抜く前提条件』も刊行しました。藤井さんが考えるUXとは?

UXを考えることは関係性をつくること

早速ですが藤井さんにとって「UXを考えること」は何を考えることなのでしょう?

藤井さん「関係性をつくること」ですね。これは過去におけるUXの定義との対比を考えることで見えてきます。UXがISOで定義されたのは2010年。当時、スマホは出始めたばかりでした。そこから変化したことは二つあって、一つはサービスやプロダクトにまつわる時間軸が伸びたこと。もう一つはステークホルダーが増えたことです。

まず時間軸について。以前のUXの定義は「ユーザーが(購買や利用の瞬間に)どう感じ取ったか」でした。ところが今はそうした話ではなくなってきています。サービスを目にする、購入する、届く、開封して使う、コミュニティやアプリを使う……そのなかで新たな関係性が育まれ続けていくんですよね。だから今、「時間軸」という概念がUXに追加されています。

次にステークホルダーについて。かつてのUXでは、そのビジネスに関わる人が売り手と買い手だけに限定されることも多かったと思います。でも今はそうはいかなくなりました。たとえば配達員や、ペイメントアプリをお店で使うラーメン屋の店主や、そうした決済手段に対応する商店街などもステークホルダーに入ってくる。つまりビジネスを動かすプレイヤーが多様化しているんです。
多様なプレーヤーが関わるようになると、体験もそれぞれのプレイヤーに向けて作る必要が出てきます。
たとえば巣ごもり生活でAmazonがむちゃくちゃ流行ったとき、配達員の人たちが死ぬほど大変、という状況が生まれたらカスタマーエクスペリエンスは良くても、ドライバーエクスペリエンスは最悪ですよね。それでドライバーたちがストライキを起こしたり辞めたりしたら、結局はカスタマーエクスペリエンスも破綻してしまう。
関わっているステークホルダー間のバランスも取っていかなければいけない時代になっているんです。エンドユーザーの満足度が仮に10点中8点しかなかったとしても、ドライバーなど他のステークホルダーの満足度が2点から7点に上がったほうが、構造としてヘルシーだしサステナブルじゃないですか。

たとえステークホルダーをエンドユーザーだけに絞ったとしても、時間軸でみたときには購入の前後、あるいは使用を継続してもらう中でどういう関係性を作っていくかが重要になります。ビジネス用語だといわゆるLTV(ライフタイムバリュー)という話になるのですが、そこをつくる必要が出てくる。だからこそ、一言でいうとUXデザインとは、関係性づくりにほかならないんです。

藤井さんとUXとのあゆみについて教えてください。

藤井さん:僕、そもそも就職したのが26歳ぐらいだったんです。それまでは音楽制作や映像制作などを手がけ、インディーズで活動をしていました。並行して大学院にも通い、「生命とは何か」をプログラムやコンピューターの側面から考える、理系と文系が混ざった哲学のような領域を研究していました。ちょうどAIやデジタルのブームが訪れていた頃です。生命とはなにか、機械との違いはなにか、といったことに惹かれていたところに、UXコンサルティングやSaaS提供をしているビービットという会社が「技術中心主義から人間中心主義へ」を企業方針として採用面接で掲げていて。その言葉に惹かれて2011年に入社しました。

当時はWebサイトのユーザビリティやデジタルマーケティング上のコミュニケーションを改善するとビジネスでの成果が向上する、という時代でした。モバイルが当たり前に使われるようになったのが2012年あたり。この頃を境に、ビービットも私自身も、手がける領域が変化し始めたのを覚えています。いわゆるカスタマージャーニーだとか、新しい顧客接点を作るだとか、よりハイレイヤーな仕事に変わってきていきました。

近年はDXブームが到来し、多くの人がデジタル戦略を議論しています。これまでの「いかにして売るか」という課題から「いかにして使い続けてもらうか」が重要視されるようになっています。もはや体験づくり自体が経営課題になっており、それに伴ってUXの重要度もどんどん上がっています。海外の企業だとCXO(チーフエクスペリエンスオフィサー)などの肩書は一般的ですし、経営層がUXを考えるのも当たり前になってきました。

僕が担当する領域もLPやサイトデザインなどの部分から大幅に拡大しました。リアルとデジタル双方をひっくるめて、どのような顧客接点やジャーニーを作るべきか、はたまた、2030年のデジタル戦略としてどんな体験であるべきか……など、新しい分野に拡がっています。

『アフターデジタル』シリーズをこれまでに4冊、執筆されていますね。

2014年にビービットのオフィスがある台湾に移り住んで、2017年には上海オフィスに異動し、中華圏でUXの仕事をしていました。ちょうど中国がデジタル先進国化してきたタイミングでしたね。現地で感じたことをもとに「デジタルやエクスペリエンスというのはみんなが思っているような小さい話じゃないぞ!」「日本でもDXとか言っているけど考え方がたぶん全然違うぞ!」と、さまざまな場所でお話しさせていただいて(笑)。2019年に『アフターデジタル』(日経BP社)という書籍を尾原和啓氏と共同執筆したのが始まりですね。そこからデジタル先進事例を紹介したり、ビジネスモデルとUXを一緒に話せたりする人、と認識していただくことが増えました。

累計22万部をこえた「アフターデジタル」シリーズ

日本国内のUXをとりまく状況

UX人材を取り巻く環境は、海外ではどのような状況なのでしょうか。

藤井さん:アメリカのように、UXデザイナーの給料が高くUXデザイナーが大量にいる市場では、大学にUXデザイン専攻があります。日本を含め、そうではない国だとGoogle UX Design Certificateのような、企業が提供するコースやCourseraなどのeラーニングで学ぶことが多いようです。

日本ではUXを学ぶのはデザイナーというケースが多いのですが、アメリカではむしろ、コンピューターインタラクションなどを勉強しているような、情報工学系の人がUXを専攻するケースがかなり多いです。

日本におけるUX事情は海外と切り分けて考えたほうがいいのでしょうか。

藤井さん:難しい話ですね。基本的には世界水準に揃えていいと思います。ただ、一つひとつ実際に体験設計していくときには相当ローカルな事情が含まれるので、世界水準が使えないケースもあるとは思います。

UXはアメリカ発祥の側面が強く、日本では米国発の理論をほぼ鵜呑みにして、しかもふわっと和訳してしまった結果、わけが分からなくなっている場面がすごく多いと感じています。たとえばこれは以前Twitterで投稿したUXピラミッドの例です。ピラミッドのトップの「meaningful」が「価値がある」と訳されている。日本の現場視点でUXを理論化し、言語化する取り組みが後手に回っているので、僕はここをもっと盛り上げていきたいですね。

 

 

UXインテリジェンス協会の事務局長もつとめていらっしゃいますね。UX検定を立ち上げたのはなぜ?

藤井さん:企業がUX人材の育成に投資する上で、なんらかの指標があったほうがいいんじゃないかと思い、ベーシックレベルの知識を網羅的にカバーするUX検定を立ち上げました。

さきほど話した通り、UX向上のために対応すべき領域って非常に広いですよね。にもかかわらず、ビジネスで成果が上がったかどうかを証明するのはすごく難しい。でもそのままでは、UXの価値は正しく評価されません。

経営層の人たちがどれだけUXを重視するかで予算は決まり、それがUXの市場規模にも反映されます。UX市場が盛り上がれば、UXデザイナーも高賃金で働けるようになり、なりたいと思う人も増えて、よいUXが世の中に広まるという循環が生まれます。つまり、まずはUXに投資する価値を感じてもらうことからスタートするわけで、そのためには投資の費用対効果をはかるKPIが必要ではないか、と。

最近、人材業界大手のdodaさんの調査結果を元にUXについて寄稿しました。データによると、UX関連の求人は3年間で5倍に増えているそうです。企業もUX人材を必要としていて、人事担当者は社員にUXを勉強するよう要請しているんです。

ただ、勉強といっても「本を10冊読んだ」とか言われても成果がわからないですよね。そのときにUX検定に合格した実績があれば、一定のレベルに到達した証明になります。個人にとっては学んだことを証明できて自信にもつながるし、企業にとっては人材育成の面でUXに投資した成果が生まれたという指標にもなります。

ジェネラリストレベル向けの検定として立ち上がったUX検定

UXはもはや総力戦

検定の受講者が増えることで、どんな変化を見込んでいますか。

藤井さん:企業の人材育成という観点から考えると二つあります。一つ目は、検定に合格するレベルの知識を身につけることで、社員全員がUXの基礎を理解できることです。

今や、顧客体験を考えられないメンバーが会社内にいると、ちょっと困る状況だと思うんですよね。製品を顧客に手渡しさえすればあとはよろしくやってくれる、という時代は終わりました。製品だけでなくWeb体験やSNSや店舗やアプリなどのいろいろな接点が顧客の体験を支え、ブランドを作る時代になったのです。
つまり、UXの専門家でなくとも、社員みんなが最低限、顧客体験を意識して、自分たちが提供している価値について考える必要がある。
UXはもはや総力戦なんですよね。全社員がUXを理解できるようになったら、世の中に溢れるサービスはすべて体験勝負になってきます。そういう世界になったらいいな、と思いますし、正直そうなっていかなければグローバルではもちろん、国内でも勝てなくなってきているな、とも感じています。

二つ目は、UXの知識を持った人を増やすことで、組織におけるUXデザイナーに対する理解を向上させることです。

UXデザイナーは上から指示された要件や制約のなかで体験を設計しなければいけないというケースが多くあると思います。そのときUXを理解している人が上に立っていれば「この要件だと、ビジネス的には成立するけどユーザーにとっての価値はないぞ」みたいな話ができるじゃないですか。
UXの担当者は本当はもっと上流に関与すべきなのですが、そのためには周りの理解が追いついている必要があります。関係者がUXの知識を持っているとUXデザイナーとの間にギャップもなくなるし、彼らの仕事の重要性や大事さみたいなことも分かるようになる。UXの専門家を適所に配置できる機会も増えるはずだと思っています。

顧客理解はUXの最低条件

UXを考える上でのマイルールはありますか。

藤井さん顧客がおかれた状況を理解することは最低条件だと思っています。たとえばMaaSのサービスを手がけるのに、関わっている人が全員運転免許を持っていないと言われたら「このサービス、本当に大丈夫?」と思うじゃないですか。もしも顧客の状況が理解できていないなら自分たちで取りに行かなければいけない。そしてそれを主観的に理解する必要もある。そうじゃないと顧客体験は向上しませんよね。

UXの5段階モデルを作ったアメリカの元Adaptive Pathの創業者、JJギャレット(Jesse James Garrett)氏は、2019年に記事の中で米国のUX事情について「かなり残念な状況だ。なぜUXはこんな風になってしまったのだろう」と語っています。2014年から2016年にかけてUXが重要視される流れが強くなり、企業がこぞってUXファームやデザインファームを買収した結果、UXが劇場化してしまった、と分析しています。妄想で作ったユーザーペインを付箋にバーっと書いてホワイトボードにペタペタと貼り付け「カスタマージャーニーっぽく」して完成、本物のユーザーは開発の現場に一人も登場しないというような、形骸化したUXデザインのプロセスが横行していました。
もしかしたら今、日本のUXデザインも同じように形骸化していく流れになっていないだろうか、と懐疑的になる必要があります。

ビジネス側の視点でUXを考えるとき、重要視するポイントはどこでしょうか?

藤井さん組織やビジネスの都合で体験が壊されないようにすることですね。
日本は組織構造的に、ステークホルダーごとに部署が縦割りになっていることが多いです。それらを言い訳に体験が毀損されてしまうことは避けなければならない。

例えば人材紹介会社を例に考えてみましょう。応募者向けのサービスと、求人票を出す企業向けのサービスがきっぱりと分かれていて、担当が異なりKPIもあまり連動していない、というのはよくあるパターンだと思います。
ただし応募者が人材紹介会社のどこで魅力をはかっているかというと、登録企業や求人の質なんですよね。良い求人が多いプラットフォームには登録したくなるじゃないですか。

応募者が集まらない場合、よくみてみると、各部署と人事担当者の間のコミュニケーション不全が課題になっていることも多いんです。これでは得られるインサイトの幅や作れる体験の幅が狭くなってしまいます。こうしたセクショナリズムとか、KPIを達成するために仕方ないとかいう現場の意見に対して「待った!」をかけるのも、UXデザイナーの仕事の一部だと考えています。

そうした状況は多くの日本企業で発生しているように見えるのですが、現実的にどのように対応していけばいいのでしょうか。

藤井さん:構造が変わるかどうかはともかく、セクショナリズムを排除した体験づくりやユーザー理解は可能です。

例えばコールセンター部門とEC部門の間には高い壁があるんですよね。EC画面のちょっとした間違いでコールセンターに苦情の電話がかかってくるので「余計な仕事を増やすなよ」と(笑)。
でも、たとえばユーザーがサイトのFAQを見ても課題が解決できず、その結果サイトから離脱したり、コールセンターに怒って電話をかけてきたりする場合、コールセンターがそのデータやビデオをEC部門に提供することで、より顧客のニーズに合ったFAQを作れるじゃないですか。

全員一緒にユーザーの方向を向いてユーザーの困りごとを解決すれば、ユーザー満足につながり、ビジネスの成果にもつながってきます。それが理解できれば、部署をなくすことはできなくても壁をなくすことはできるはずです。

ユーザーペインを超えて社会課題まで解決する

このUI/UXは素晴らしい、と思う例があれば教えてください。

藤井さん:インドネシアのGojekでしょうか。バイクタクシーの配車からスタートしたサービスです。なぜバイクタクシーなのかというと、インドネシアは交通渋滞がひどい国だからという背景があります。車は時速6キロくらいでしか進めず、車の間をすり抜けて移動できるバイクが一番早い移動手段、という状況なんですよね。このペインポイントがまず社会にあって、それを解決するためにGojekは優秀なバイクドライバーを集めたんです。「バイクドライバーが何かを運ぶ」という発想から、自分を運んでもらう、ものを買ってきてもらう、レストランから食事をデリバリーしてもらうなど、日常に発生するあらゆる距離をゼロにするというサービスが生まれました。

バイクタクシーを起点にスーパーアプリへ

これはユーザーから見ても便利なサービスですが、実はドライバーにとっても良い仕組みが構築されています。東南アジアでは「アンバンクト」と呼ばれる、銀行口座を持てない人たちも多く、彼らは事業資金を借りられなかったり、クレジットカードを作れなかったりします。それがGojekのドライバーになると、まず収入が安定します。収入情報はデータとして残るので、今後どれだけ稼ぐかを予測できるようになり、信用情報として活用できます。
またユーザー評価や運転のルート選びなどのデータから、パフォーマンスの高さを評価できます。こうした情報から、各種保険の契約もできるようになるのです。

インドネシアはこの15〜20年でいわゆる中間所得者層が爆増した国です。雇用状況は決してよくないのですが、ドライバーの仕事などが雇用の受け口となっています。彼らがアンバンクトな状態だったところから金融サービスや保険サービスも享受できる状態に成長しているというのは、Gojekを通じて社会課題が解決されているということ。純粋に凄いな、と思いますね。

UXを学び始めた人などに向けて、おすすめの書籍があればぜひ。

藤井さん:手前味噌ですが、最新刊『ジャーニーシフト』を読んでもらいたいですね。先ほどお伝えしたインドネシアの話などを例に、これからどんな時代の変化があり、価値の変化が起きていくか、深掘りして多面的に書いています。

今回の『ジャーニーシフト』も、前作の『アフターデジタル』シリーズも、過小評価されがちなUXの価値をもっと理解してほしい、UXデザイナーをはじめUXの力を信じている人たちを応援したい、という気持ちを込めています。UXと呼ばれているものの真の広さや大きさを理解していただけるように頑張って書いたので、ぜひ手にとっていただければと思います。

それ以外でオススメの本は、『チョンキンマンションのボスは知っている』(小川さやか著, 2019年)です。

文化人類学系の本で、香港にいるタンザニア商人の話です。この商人の生活がデジタルテクノロジーによってどう変化するか、という話題から新しい経済モデルの話に発展します。読み物としても純粋に面白いので、読んでほしいですね。

UXにおいてはユーザー理解が重要なのですが、文化人類学系はそのユーザー理解の助けになってくれます。文化人類学というと、どこか僻地の民族とともにフィールドワークをする……みたいなイメージがありますが、日常のコミュニケーションや表現のなかにも、理解が困難な壁があります。その壁を文化人類学的に見て「この差はなぜ生まれているんだろう」と考えられるようになると、ユーザー理解がどんどん深まり体験づくりができるようになると思っています。

ほかにもアドバイスがあれば。

藤井さん:本やコンテンツに対して、自分なりの視点を磨くといいと思います。僕はたとえばMARVELシリーズなどを見て、「このエピソードにはこういう文化人類学的な背景があるんじゃないか」といったことを考えるのが超好きなんです。基礎的な知識を身につけるために勉強はしたほうがいいとは思いますが、それ以上は、みんなと同じ勉強をしていてもユニークネスにはならないので……。自分が面白いと思ったものがなぜ面白いかを考えたり、とにかく知的好奇心と、そこから吸収していく姿勢を持つことが大事かな、と思います。

ありがとうございました。次にお話を聞きにいく方をご紹介いただきたいんですが、どなたかいらっしゃいますか。UXについていろいろお話ししてくれそうな方……。

藤井さん:小川さやかさんはどうでしょうか。さきほどご紹介した『チョンキンマンションのボスは知っている』の著者の方です。

わかりました。ご連絡してみます!

今回のまとめ

藤井さんにお話を伺って改めて大きく視界が開けた気分です。サービス単体で完結する点のUXから、ビジネスモデル全体をリッチかつヘルシーに作り上げていく線の(あるいは面の)UXへ。急速に変化するビジネスの現場において「UXは総力戦」と語られていたのも印象的でした。

・UXは関係性作り

・総力戦でUXを考えなければ勝てない時代に

・組織の壁を超えて顧客に向き合う

でももしかしたらこれ、新しい話のように見えて、商売の世界で昔から言われてきた「三方よし」の世界観に近いのかもしれません。無理なシワよせは、いつか商いのウィークポイントになるわけで……ステークホルダー間のバランスをとりながらビジネスモデルを構築していく考え方は、もしかするとかつての日本人の得意分野に近いのかも。いずれにしても新刊の『ジャーニーシフト』、読んでみよう!

方向性をあえて決めずに動き出した当連載。まだまだ深淵に向かって石を投げている気分です。次回もお楽しみに。

 

藤井 保文(ふじい・やすふみ)

1984年生まれ。東京大学大学院修了。上海・台北・東京を拠点に活動。国内外のUX思想を探究し、実践者として企業・政府へのアドバイザリーに取り組む。累計22万部のベストセラーである『アフターデジタル』シリーズでは、これからの時代を生き抜くために、日本企業が取るべきアクションや、DXのあるべき姿を提示。AIやスマートシティ、メディアや文化の専門家とも意見を交わし、人と社会の新しい在り方を模索し続けている。

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