2024年2月の美大ニュースEditor’s eye

Feb 23,2024note

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Feb23,2024

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2024年2月の美大ニュース Editor’s eye

文:
TD編集部 青柳 真紗美

全国津々浦々、いろいろな美大の取り組みをウォッチしているTD編集部。月に1回、エディターの視点から気になったニュースを紹介します。

今年で12回目の開催、東京藝大の学生が考えた未来のカバンが「世界のカバン博物館」に

バッグとラゲージの総合メーカーで知られるエース株式会社が、エース東京店内で運営する「世界のカバン博物館」にて、東京藝術大学美術学部デザイン科1年生45名が制作した作品を展示する成果展「2024 モチハコブカタチ展 ~Goodbye Rucksack~」を開催中だ。

展覧会のサブタイトルにある「~Goodbye Rucksack~(グッバイ・リュックサック) 」の言葉通り、昔から現代まで利用され続けているリュックサックに別れを告げた後、人々は何を求めるのか、未来のクリエイター達が考えた「モチハコブカタチ」を展示するという試みだ。

【引用元】東京藝術大学 美術学部 デザイン科との産学協同特別展示
「2024 モチハコブカタチ展」
https://www.ace.jp/news/pdf/2401_museum.pdf

同展は、東京藝術大学と世界のカバン博物館を運営するエース株式会社による産学協同の企画展だ。
2011年に東京藝術大学美術館陳列館で開催した共同プロジェクト「エース株式会社デザイン展 モチハコブカタチ」をきっかけに今回で12回目を迎え、今年は1年生45名が参加した。

この展示では「なぜ現代人はリュックサックを背負うのか?」という問いが学生たちに投げかけられた。長濱雅彦氏(美術学部デザイン科教授)は「誰もが手放せないリュックサックをあえて“野暮”なものと 位置付け、その対極にある“粋”なデザインを45名の学生が考えた」と語っている。

展示会場である「世界のカバン博物館」は、エース株式会社の創業者・新川柳作が社会貢献の一環として1975年に開館。2010年には同社創業70周年記念事業の一環としてリニューアルを実施し、現在では世界約50カ国から集めた700点余りの珍しいカバンや、著名人から寄贈されたカバンを収蔵・展示している。

カバンの素材を手に取ることができる“体験ゾーン”や古代から現代までのカバンの変遷を学べる”歴史コーナー”、スーツケースの製造工程、カバンのパーツの名称やお手入れ方法など、カバンに対する知識を習得するのと同時に、カバンそのものに興味をもてるようなコンテンツが豊富にそろっており、これだけでも見る価値がありそうだ。

会場:世界のカバン博物館(東京都台東区駒形1-8-10 エース株式会社 東京店内)
期間:2024年1月27日(土)〜3月9日(土)10:00~16:30(入館は16:00まで)
休館日:日、 祭日 ※2月24日(土)は臨時休館
入館無料

◆プレスリリース(PDF)
https://www.ace.jp/news/pdf/2401_museum.pdf

◆東京藝術大学
https://www.geidai.ac.jp/

◆株式会社エース
https://www.ace.jp/

秋田公立美術大学が「AKIBI ARTs MARKET2024」を開催

TDでも連載で取り上げた「日本で一番新しい美大」秋田公立美術大学が、「AKIBI ARTs MARKET」の2024年度の開催を発表した。

「AKIBI ARTs MARKET 2023」より
【引用元】アーツセンターあきた
『秋美学生の作品を展示販売する「AKIBI ARTs MARKET 2024」 今年も開催!』
https://www.artscenter-akita.jp/archives/47906

今年で5回目の開催となる「AKIBI ARTs MARKET」。秋田公立美術大学の学生、大学院生の作品を鑑賞・購入・所有することを通して、アートやデザインをより身近に感じてもらうことを目的に実施されている。来場者はギャラリーにて作品を間近で鑑賞し、その場で購入することができる。

昨年度に販売された作品

今年度は学部1年生から大学院生までおよそ18組の個人、グループが参加している。
イラスト・絵画などの平面作品、オブジェなどの立体、ファブリックなど約500点を超える幅広いジャンルの作品が発表される見込みだという。
アートに触れる機会としても、アーティストの卵たちを応援する機会としても期待が持てそうだ。2月の秋田は寒いだろうけど行ってみたいな!

会場:秋田公立美術大学サテライトセンター(秋田市中通2-8-1フォンテAKITA6F)
期間:2024年2月24日(土)25日(日)
開催時間:10:00~18:00
入場無料
※作品購入は当日現金払いのみ

◆秋田公立美術大学
https://www.akibi.ac.jp/

◆artscenter-akita
https://www.artscenter-akita.jp/

KOKUYO DESIGN AWARD 2024にて、全国の学生たちを対象とした「NEW GENERATION 賞」発表

コクヨ株式会社は2024年度コクヨデザインアワードの応募作品から「NEW GENERATION 賞」を発表した。
同アワードは才能あるデザイナーの応援と共創を目的としたプロダクトデザインの国際コンペティションで、今回で21回目の開催となる。
世界中から集まった作品の中から選ばれた受賞作品は、受賞者とコクヨの商品開発チームとの共創による製品化が検討される。これまでに生み出された製品の数は20点を超えたという。

今年度のテーマは「primitive」。primitiveとは自然に近い「本来の」状態、磨かれる前の「根源的な」状態を表現する言葉。この言葉を「本質の再定義」と解釈し、これからの未来に本質として残るプロダクトデザインを募集した。

【引用元】
コクヨデザインアワード
https://www.kokuyo.co.jp/award/

その中から2月21日に発表されたのがNEW GENERATION賞だ。同賞は全応募作品の中から学生の応募作品を対象としており、商品化を前提とせず、アイデアや着眼点に魅力がある作品を選定している。
次世代を担う若い世代の次なる挑戦を後押しする目的で創設され、今回は最大点数の10点が選出された。

例えばSakan Kiatboonsriによる「Candle Clock」は可動性が特徴で、重力によって燃焼時間を示すのが特徴だ。点火していないときには低い位置にあるキャンドルが、燃えるにつれて上昇し時間の経過を表しており、審査員からは「ロウの変化や炎の揺らぎによる根源的な効果と、相反するが時計としての実用的な機能を上手く組み合わせたユニークな作品」という評価を得ている。
またJoonyeol Baeの「Fifty-Six Kilometers」は鉛筆には56キロメートルに相当する黒鉛が含まれていることから着想を得た鉛筆ホルダーで、(使用者が)費やした努力を視覚的に表現。審査員からは「鉛筆一本分という親近感のある共有知を新たな表現で紡ぐ着眼点がとてもセンスがある」とコメントが寄せられた。

【引用元】
コクヨデザインアワード NEW GENERATION 賞
https://www.kokuyo.co.jp/award/archive/prizepast/2024/ng/

グランプリの審査発表は2024年3月16日(土)に予定されており、こちらも注目だ。

◆KOKUYO DESIGN AWARD 2024
https://www.kokuyo.co.jp/award/2024/requirements/

TDでは、これからも月に1回、美大関連の様々なニュースを取り上げていきます。プレスリリースやお知らせの送付は問い合わせフォームからお気軽にどうぞ。

 

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