小さいクルマほどデザインが重要なワケイタリアからきた小型EV、BIRO試乗レポート

Aug 23,2018report

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Aug23,2018

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小さいクルマほどデザインが重要なワケ イタリアからきた小型EV、BIRO試乗レポート

文:
TD編集部 出雲井

超小型モビリティのデザインに注目しているTDが今回取材に行ったのは、イタリアから上陸した「BIRO(ビロ)」。目を引くデザインや細部に凝らされた工夫は必見。八丁堀の街並みを走る、試乗動画も撮影してきた。

イタリア発の小型EV「BIRO」

BIROは、イタリアのエストリマ社が開発した2人乗りの小型EV(電気自動車)。イタリアのほかオランダ、スペイン、ポルトガル、フランスで販売されるなど、ヨーロッパで人気上昇中だ。2017年に大阪に国内初のショールームがオープンし、日本でも本格的に販売がスタートした。そして2018年6月26日、東京・八丁堀にBIROストア東京1号店がオープン。筆者はオープンに合わせて催されたマスコミ向け試乗会に参加してきた。

引き締まったブラックに鮮やかな原色をプラスした外観は、スタイリッシュながら愛きょうがあり、中米の森に生息するキスジフキヤガエルに似ている。黒い体に、オレンジ色の2本の筋が入った美しいカエルだ。
小さなクルマにとって、デザインは重要だ。車高があって大きいクルマほど「エライ」と見なされ、幅をきかせる傾向にある路上では、小さなクルマは見下されがち。だがエッジの立ったデザインなら、一目置かれる。
また他のクルマに確実に認識してもらうことは安全性能のひとつ。キスジフキヤガエルの鮮やかな色は、自分に毒があることを敵に知らせる警告色だが、BIROのデザインも「こいつ侮れないな」と周りに思わせる雰囲気を持っている。
小型ながらも存在感を放つデザイン

キャビンづくりのノウハウから生まれた、フレームを“あえて見せる”デザイン

この日のために来日したエストリマ創業者マッテオ・マエストリ氏は、新車種のお披露目とともに「通常の自動車では隠してしまうフレームをあえて見せ、強調するデザインにした」とデザインについて解説する。小さなクルマゆえ、どうしてもコストの制約が厳しい。そこを逆手にとって、フレームをむき出しのまま残し、カラーリングで目立たせることにしたという。

マエストリ氏はもともとトラックやトラクターなどのキャビン(運転席部分)を製造する会社を営んでおり、キャビン作りのノウハウを持っている。その経験を生かして作り上げたのが特徴的なBIROのフレームだ。頑丈そうなフレームに囲まれた安心感を視覚的に伝えると同時に、ひと目でBIROと分かるアイコンにもなっている。
このフレームおよびボンネットのカラーは、白・緑・黒という基本の3色に加え、なんと99色ものオプションカラーが用意されている。自分の好きな組み合わせでカスタマイズするのも楽しそう。

日本での販売を手がけるカツラダモータースの桂田宗慶社長は「ミラノの街角で見かけ、気になってアプローチしたのがきっかけ」というから、BIROのデザインは日本上陸にも大きな役割を果たしたようだ。

エストリマ創業者のマッテオ・マエストリ氏(右)とカツダラモータースの桂田宗慶社長(左)

意外なほど、乗りやすい。短距離移動に特化した機動性

BIROに乗り込んでショールームがある八丁堀付近を走ってみた。まるで小学校の教室にあった椅子みたいな直角なシートに背筋をたてて座り、真上を向いているかのようなステアリングを操る。全長をできるだけ切り詰めるために、人間もシートもハンドルも、なるべく立てて詰め込まれる。最初は違和感があるが、5分も走ればそういうものだと慣れてしまう。

この日は暑く、左右のドアは取り外してもらったため開放感は抜群。フロントウインドウが大きいのは言うまでもないが、透明の天井越しに青空まで見える。クルマというよりバイクに近い爽快感だ。エアコンはないが、風が入ってくるため暑さは気にならなかった。

走り出すと、硬いシートにゴツゴツと路面の凹凸が伝わってくる。だが速度は遅いし、短距離・短時間の移動専用と割り切れば十分な水準。それよりも全長わずか1.7メートル、幅約1メートルというサイズ感がもたらすメリットの方が大きい。
マエストリ氏が「最も重視したのはディメンション」だと語る通り、その小ささをいかして駐車車両や右折待ちのクルマでごった返す都内の道路をスイスイと駆け抜ける。視界がいいから車両感覚がつかみやすく、人を威圧しないから狭い路地も気にせず入っていける。身構えることなく気軽に乗れるところがいい。

全長は1740mmと、プリウスの横幅より短い
ステアリングはかなり上向きだが5分で慣れる
カードキーをかざすことでドアの開錠や始動ができる

自宅コンセントで充電OKのワザありバッテリー

もうひとつ感心した工夫が、バッテリーの搭載方法。BIROは固定式と脱着式、2種類のバッテリーを選択できる。脱着式のほうが航続距離は短いが(固定式は約100km、脱着式は50km)、専用設備なしに家庭用コンセントで充電が可能だ。
小さいとはいえ自動車を走らせるほどのバッテリーだから、それなりの重量はある。そこでBIROは脱着式バッテリーに取っ手と車輪をつけ、ガラガラと引っ張って持ち運べるようにした。これなら駐車場に充電設備を設置できないマンション住人でも、充電に困ることはない。

着脱式のバッテリーには取っ手とタイヤ付き

こんなクルマで移動する社会になってほしい

BIROは日本ではミニカー扱いとなるため、車検も車庫証明も不要。ヘルメットをかぶる必要も無く、普通自動車免許を持っていれば誰でも運転できる。
そんないいことずくめのBIROだが、実際に自分が所有することを考えると、ネックになるのが価格。ドアなしタイプは158万円、ドア付きタイプは183万円からとなっており、軽自動車が軽く買えてしまう金額だ。しかも軽自動車なら4人乗れるが、BIROには1人しか乗れない。実はBIROは2人乗りで設計されているが、日本では道路運送車両法により制限されてしまうのだ。
現時点では購入者の多くが、いわゆるアーリーアダプター(新しい物好き)。裕福なクルマ好きが、3台目とか4台目のクルマとして買っていったり、レストランのオーナーが宣伝を兼ねた配達カーとして利用するケースが多いようだ。
BIROのデザインはそれだけで目を惹くが、法人利用であれば広告を入れるなどで活用の幅は広がるかもしれない。
リース利用や、マンスリーレンタル後に支払ったレンタル費用をそのまま購入費用に充当できるプランなどもあり、ウェブサイトから試乗予約も随時受け付けているので、気になる方は一度見てみると良いだろう。

実際にハンドルを握ってみたら、BIROは思った以上に混雑する都会にマッチするクルマだった。価格が下がり、2人乗りできるよう法律が整備されれば、軽自動車よりこっちに乗りたい人も多いはずだ。

 

BIROストア東京1号店

〒104-0032 東京都中央区八丁堀1-9-8 八重洲通りハタビル1階
TEL:03-6228-3164 FAX:03-6228-3165
(日・月定休)
https://www.birojapan.com

 

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