子どものためのデザインだけど、子どもに媚びるデザインじゃない。 意外と深かった「キッズデザイン賞」の世界

Jul 22,2017report

#Kids_design

Jul22,2017

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子どものためのデザインだけど、子どもに媚びるデザインじゃない。 意外と深かった「キッズデザイン賞」の世界

文:
TD編集部

「子どもたちの健やかな成長・発達」につながる幅広いモノ・サービスを対象に認定される、「キッズデザイン賞」。TDでは2017年度の同賞を追いかけていきます。

今年で11回目の開催となるキッズデザイン賞

突然ですが皆さん「キッズデザイン賞」ってご存知ですか。「グッドデザイン賞」じゃないですよ、「キッズデザイン賞」。言わずもがな、「子どものためのデザイン(子どものことを考えて作られたデザイン)」に対して送られる賞です。 毎年、桃の節句から端午の節句の時期にかけて公募され、審査員の方々によって選ばれた作品には認定マークが授与されます。

実は編集部にも子育て世代のメンバーが複数名いるのですが「キッズデザイン賞なんて初めて聞いたよ~」という部員が多かったのも事実。でも、デザインのスローメディアを標榜する私たち…知らないではすまされないね! それより何より、なんか面白いプロダクトとの出会いもありそうだね! 実はTD編集部では、春先に開催された作品募集にあたっての説明会にこっそり忍び込んでおりました。

都内で開催された説明会。2017年今年で11回目の開催だそうで、年々応募点数も増加しているとのこと。

会場内は、正直意外なほどの盛況ぶりでした。なんと今年で11回目の開催になるんだそうです。2007年から始まったこの取組み。応募点数は10年間で3619点、受賞点数は2155点。今までの受賞作品がまとまったこんなカタログもあり、なかなかの読み応えです。

赤すぐやVERYに疲れたママにどうぞ

ここから先は、デザインという文脈から少し脱線するのですが…。このカタログ、もっと世の中に出回ればいいのに! と強く感じました。

コンセプトブック。眺めているだけで面白い!

インターネットでいくらでも情報を入手できる現代ですが、子育て中の情報源って意外と偏るんですよね。育児情報誌をめくれば「素敵な子育て」「がんばるママ」の記事が続きますが、「これって本当に必要…?」「いいやうちは…ここまでこだわれない…」と感じるようなツールやおもちゃの情報もたくさん。その上毎年新しいモデルやデザイン、商品が出るもんだから、二人目・三人目で多少余裕があったとしても、お父さんお母さんはいつだって、キッズ商品に関しては「初心者」状態

先日も、
「へ~、最近は便利な商品があるのねー!」
と、最近四人目を産んだというお母さんがびっくりしている姿を店頭で目にしました。四人目でもそうなのか。それじゃ一人目なら余計に、わかるわけないよね……。

結局、こどもに関するものって手近な百貨店で手に取ったものを購入したり、インターネット通販サイトでレビューが上位のものをとりあえず買ってみたり。でも、この選択、本当に我が子のためだった? と問われるとなんとも言えない。私自身「かわいい!」という理由だけで輸入品のベビー食器を購入して失敗した経験も数知れずです。

このカタログは取り寄せないと読むことができないのですが、キッズデザイン協議会のWebサイトから受賞作品を検索することもできるそうなので、子育て世代・孫育て世代の方、あるいはキッズのためのデザインを手がけるデザイナーになりたい! という志の高い方はぜひご一読されることをオススメします。

 キッズデザイン3つのデザインミッション

話は戻って、キッズデザイン。今まで受賞した作品を見てみると、その種類は多種多様。ジュニア用の花粉グラスから、車酔いに配慮された「クルマ」、地域貢献する「産院」まで…。これってどんなふうに選ばれてるの? 同協議会の皆さんにお話を聞きに伺ったところ「コドモコドモしているデザイン」がキッズデザインとして優れているかというと、そうではないのだとか。単にピンクや水色のかわいい色で商品を作ることが「子供のためのデザイン」ではないんだとのこと。

キッズデザイン協議会の資料では、以下のように説明がありました。

・子どもたちの安全・安心に貢献するデザイン

・子どもたちの創造性と未来を拓くデザイン

・子どもたちを産み育てやすいデザイン

必ずしも子ども向けのものだけではなく、大人向けでも子どもへの配慮があるものや子育てに役立つ取り組みまで、「子どもたちの健やかな成長・発達」につながる幅広いモノ・サービスが対象なのだそうです。カテゴリとしては、おもちゃや育児グッズなどの「プロダクト」、園舎や校舎、ミュージアムや遊び場などの「建築・空間」、ワークショップや教育活動などの「コミュニケーション」、様々な研究成果やデータ公開などの取り組みを紹介する「研究・開発」、そして東日本大震災の被災地に向けた「復興支援」があります。

 

 
ただ可愛いだけじゃダメ。キッズデザインはこんな指標で評価される

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