大気汚染への提案
現在、インドでは都市部の大気汚染が深刻化している。このため行政当局は路線バスのクリーン化に着手していて、デリー市内の公営バスはCNG(Compressed Natural Gas:天然ガス)化されている。こうした動きの延長として路線バスの電動化は現実的なものとして捉えられ、それに対応する提案も見られた。
タタは既存のSTARBUS(スターバス)を電動化した車両を展示。バス大手のJBMオートは、通常の電動バスのほか、停留所に給電設備を設置し、車体からアームを伸ばして充電する車両を展示していた。

大手メーカーではないが、DCデザインもデリーショーの注目出展者だ。富裕層からのオーダーでワンオフのカスタマイズモデルを製作することが主業務の企業だが、オリジナルのスポーツカーも製造・販売している。社長のディリップ・チャブリア氏はかつてアメリカに留学し、アートセンターを卒業した現役デザイナーでもある。
初公開となったミッドシップGTのTCAは「チタニウム・カーボンファイバー・アルミニウム」の略。車体を構成する素材を表現したネーミングだ。排気量3.8リットルのV6エンジンを搭載し、299台を製造する計画だとか。

日本勢、韓国勢は現実的な展示で実力をアピール
インドでトップシェアを堅持するマルチスズキは乗用SUVのコンセプト、FUTURE-S(フューチャーS)を初公開。車体後部はSUVによくある箱形ではなく、ガラス下にデッキを設けて流麗さやスマートさ、それにセダンのようなフォーマルさを見せる造形にしている。言うなればSUVとセダンのクロスオーバー提案ということになろう。世界的なSUV人気を反映しつつ、フォーマルなセダンへの憧れも強い新興国ならではの事情を反映した提案だ。


実際にマルチスズキでは現在、スイフトのセダン版となるDEZIRE(ディザイア)が大ヒットとなっている。ディザイアはインド市場特有の「全長4mセダン」。インドでは全長4mを境界として物品税の額が大きく変わるため、大衆車では4mを超えないことが重要。実際に乗用車販売の過半数が4m以下のモデルになっている。


しかしこの全長で、トランクリッドを持つスタイリッシュなセダンを作るのは至難の業。マルチスズキではスイフトのフロントバンパー形状を見直し、フロントオーバーハングをわずかに削ることでトランクリッドを可能な限り長くするようにしたという。
いっぽうホンダは、新型4mセダンのAMAZE(アメイズ)を初公開した。ホンダも従来は新興国向けハッチバック、BRIO(ブリオ)をそのままセダン化して販売していた。しかし新型ではインド専用モデルとして独立させ、独自のボディパネルを与えてスタイリッシュさを追求している。インド市場はそれだけ販売ボリュームが見込めるポテンシャルがある、ということなのだろう。


韓国のヒュンダイとキアも、高い品質と価格競争力で大きな存在感を見せているブランドだ。今回はキアが、SP Conceptを初公開した。今後近いうちにインド市場に投入するSUVを予告するものだが、やはり他国市場とはやや異なり、アグレッシブなグラフィックを持つフロントエンドを採用している。

なおデリーオートエキスポでは、二輪メーカーも多数出展し、若者たちの注目を集めている。今回も新モデルやコンセプトモデルが充実していた。また毎回、複数のデザイン学校が出展し、ブースを構えている。これらについては次回、紹介していきたい。
※写真は全て筆者撮影
※デリーオートエキスポ(インド) 後編 は3月22日(金)公開予定です。


