より自覚的な「編集」にむけて
このように、都現美のリニューアル・オープンからは「地域志向」と「より自覚的な編集」という大きく2つの方向性を見て取ることができた。(美術館の施設改修やサイン計画も、広い意味では導線の「編集」であると言えるからだ。)
それでは、現代美術の「これから」はどのようなものになっていくのだろうか?
それはおそらく、これまで裏方とみなされていた学芸員(キュレーター)という「編集者」が、より自覚的に編集を行い、より積極的に美術館や美術作品に対して「意味付け」を行っていく時代になるのではないだろうか。
岸田劉生の周辺や中原實の扱われ方からも、すでにそうした意味付けが行われ始めていることが分かる。また、近年の「抽象絵画」に対する収集方針からも、やはりはっきりとキュレーターの編集方針を見て取ることができた。
しかし時には、サイモン・フジワラの作品のように、アーティストの作品単体でそうした「意味付け」を覆してしまうようなパフォーマンスが行われることもある。

つまり、そうした攻防が繰り広げられる場としての「美術館」が新たに立ち上がるということだ。そこを訪れるこれからの観客は、おそらくそうした「せめぎあい」の中に、クリエイションにまつわる格闘や才能を見るようになるのではないだろうか。
そして、そうした「せめぎあい」は、おそらく美術の世界にとどまらない社会の縮図のようなものにも見えるはずである。
その点において、都現美のリニューアルは、今の社会に寄り添ったものへと美術館を更新させる作業であったと言えるだろう。
これからも都現美を舞台に繰り広げられるであろうさまざまな「せめぎあい」を注視しながら、現代美術の「これから」を注視していきたい。
東京都現代美術館
開館時間:10:00 – 18:00(入場は17:30まで)
休館日:月(※詳細は公式ウェブサイトをご確認ください)
*2019/7/26~8/30の期間中、金曜日は21:00まで開館します。
*夜間延長日も一部施設は休室、閉店時間が異なります。
*アクセス情報はこちら
<今回取り上げた二つのリニューアル・オープン記念展>
企画展 「百年の編み手たち - 流動する日本の近現代美術 -」
料金:一般 1,300円、大学・専門学校生・65歳以上 900円、中高生 600円、小学生以下無料
会期:2019年3月29日(金)〜6月16日(日)
コレクション展 「MOTコレクション ただいま / はじめまして」
料金:一般 500円、大学・専門学校生 400円、高校生 250円、中学生以下無料
会期:2019年3月29日(金)〜6月16日(日)


