車酔いさせない運転の秘訣は「G」だったTDおすすめアプリシリーズ vol. 4

NEW Mar 29,2019report

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車酔いさせない運転の秘訣は「G」だった TDおすすめアプリシリーズ vol. 4

文:
TD編集部 出雲井

「マニアックだけど好きな人にとってはトコトン楽しめるアプリ」を不定期で紹介していく連載企画。同乗者に優しい運転に欠かせない「G」を操るテクニックを磨けるiOSアプリがあるという。意外なほどに実用的で、運転技術の向上にも役立ちそうだ。

速い=運転がうまい、ではない

うまい運転って何だろう。
そんなことを真剣に考え出したのは、息子が生まれてからだ。息子はとても車に酔いやすく、ちょっと雑に運転すると、すぐに顔が青くなってきて車内が地獄絵図となる。そんな経験を何度か重ねるうちに、数年前、ついに自分の運転技術を見直さざるを得なくなった。

それまでだって、決して運転に無頓着だった訳ではない。マニュアル車で峠を走り回っていたこともあるし、いわゆるドラテクの本も何冊も読んだ。そして漠然と「速い= 運転がうまい」と思っていた。だがすぐに車酔いをする息子を見て、もしかしてドライバーの責任では、と思うにいたった。

同乗者にやさしい運転の秘密は「G」

そんなときに出会ったのが、サスペンションの専門家である國政久郎氏の『NEWTON BRAKE』という本。ほぼ丸ごと一冊ブレーキ技術について語ったマニアックな本なのだが、その内容はまさに目からウロコだった。

國政久郎氏のNEWTON BRAKE

一言でいうと、理想的なブレーキのかけ方とは踏力一定のブレーキであるというものだ。
ブレーキを踏み始めたら停止直前まで同じ力で踏み続け、目標地点にピタリと止まる。つまり、できるだけ加速度を一定に保つという考え方だ。そうすることで、同乗者も安心でき、クルマ酔いの心配も減るという。

そこで加速度を一定に保つブレーキを練習することにした。
そのために使ったアプリが今回紹介するiFulSoftの「G-Bowl」だ(iOSのみ)。
このアプリはスマホの加速度センサーを活用してクルマが加速する際に発生する「G」を測定してくれる。前述の國政氏のアイデアを元に開発された。

「G」とは、乗りものの加速度を表すときによく使われる単位。地球上で静止している状態が1Gで、(重力によって)ちょうど自分の体重分だけ体に力がかかっている状態だ。クルマで急加速して1Gの力がかかると、自分の体重と同じだけの力でシートに押しつけられたことになる。加速のときは後ろ方向にGを感じ、急ブレーキのときは前方向にGがかかる。そしてカーブのときは左右にGを感じる。

普通の乗用車で1Gの加速度が出ることはほとんどない。日産GT-Rのような高性能スポーツカーでフルブレーキをして1Gくらいだ。カーブのときに感じる横方向のGも、1Gを超えるのはやはり高性能スポーツカーに限られる。

ちなみにJALのサイトによると、民間機の離着陸時の前後方向のGは一般的に0.3~0.5G程度。またF1だと減速やコーナリングで5Gを超えることもある。さらに空のF1ことレッドブル・エアレースでは最大12Gがかかる(これを超えると失格)というから、上には上があるものだ。訓練を受けていない一般人は5G程度で失神することもあるらしい。

さてアプリの話題に戻ろう。使い方は簡単。まずクルマに乗り込んだらiPhoneを進行方向に向けて固定する。走行中に動かなければ、カップホルダーに置いてもOK。
キャリブレーションボタンを押して水平をリセットしたら、準備完了。スタートボタンを押して走り出せば、前後左右のGを計測してくれる。

 
 

上手なブレーキは「台形」

アプリでの計測結果はグラフとして表示されるので、後で自分の運転がどうだったのかを振り返ることができる。

理想的なブレーキ、つまり踏力一定でブレーキを踏むと、グラフが「台形」になる。ブレーキの踏み始めは速やかにGの数値を上げ、目標値に達したらそれを維持する。そして止まる直前に滑らかにブレーキを離す。そんな操作をすると、グラフは「台形」を描く。
何度かに分けてブレーキを踏むポンピングブレーキや、徐々に踏む力が強くなるカックンブレーキは、同乗者に不快感を与えるのでNGだ。
そんな「台形」のブレーキだが、実際にやってみるとこれが難しい。
例えば、赤信号でブレーキを踏むときを想像してほしい。停止線でぴったり止まれるよう予測してブレーキを踏んでも、弱すぎてあわてて停止線直前で強く踏み直したり、反対に強く踏みすぎて停止線のはるか前に止まってしまったり。
一定の力でブレーキをかけつつ目標地点でぴったり止まれるようになるには、結構練習が必要だ。
なお、『NEWTON BRAKE』によると、踏力一定は理想型だが、徐々に弱くなっていくブレーキ、また途中で一段階弱くなるブレーキでも問題ないという。これは想定より余裕を持って止まれたということだからだ。
このアプリは運転中もGの強弱を音の高低で教えてくれるので、画面を見なくてもGの変化を確認できる。減速中、音程が一定に保たれていればうまくブレーキをかけられたということだ。
ブレーキがうまくいったときの例。青いグラフが台形を描いている

あらかじめ設定しておいた加速度を超えると知らせてくれる機能もある。僕は加速度の上限を0.4Gに設定しているので、それ以上の加速度がかかった場合にはアラートが鳴る。
『NEWTON BRAKE』によると、人を乗せて運転する場合は、前後左右の加速度を0.3G以下に抑えるといいそうだ。0.4Gを超えると、同乗者が手で体を支えるくらいの加速度になってしまうという。

Gを意識することで運転がうまくなった(はず)

さて、実際に数年アプリを使ってどうだったかというと、まず息子の車酔いは確実に減り、今ではよほどの山道でない限り心配する必要は無くなった。もっとも車酔いは成長とともに少なくなるケースも多いらしいので、アプリの効果かどうかは定かでないのだが……。

自分の運転をデータで客観的に見るのは、新鮮な体験だ。そしてGを意識して運転する習慣を身につけるだけで、運転がうまくなると思う。残念ながら「G-Bowl」アプリはiOS版しかないのだが、本当はすべてのドライバーにオススメしたいアプリだ。

自分の走りをデータで振り返ることができる

あっという間にvol.4まで続いたこのシリーズ。編集部では、アプリやゲームの情報などを引き続き募集中だ。海外モノやバイクも大歓迎。「誰よりもマニアックなゲームを知っているよ」という人、ぜひご連絡を!

 

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