無印良品『トラベルS字フック』モノローグ|語りかけてくるモノを見つめて vol.8

Jun 10,2020column

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Jun10,2020

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無印良品『トラベルS字フック』 モノローグ|語りかけてくるモノを見つめて vol.8

文:
TD編集部 青柳 真紗美

ふとした瞬間に語りかけてくる「モノ」たちがある。つい触れたくなる、誰かに伝えたくなる ー そんなモノたちと、それにまつわるエピソードを一口サイズでお届けしよう。

無印良品『トラベルS字フック』

子どもの頃からS字フックが好きだ。
引っ掛けたり、ぶら下げたり、つなげたり。旅先でも日常の暮らしの中でも、同じように活躍してくれる。このシンプルな形には、使う人の創意工夫を自然と促す何かがある。

もちろん実用性に優れていることは言うまでもないが、この形に心惹かれる。
なぜSなのか。Sでなくてはならないからだ。

しかし、ある日出会ったこのS字フックは、あろうことか違う形をしていた。

一見、S字フックとは思えない見た目。手のひらサイズの、小さなドーナツのような型。すなわち「O」だ。そっと開くと、私の大好きなS字フックに変身する。

OとSとを行ったり来たりすることで、このフックはさらに用途を広げているように思う。

コンパクトに持ち歩くことができるのはもちろんのこと、袋などを引っ掛けた状態でOの形に戻すと、ちょっとしたカラビナのように使えるのも便利だ。

私は現在、一児の母である。子どもと外出する時には、お守りのようにこれを持ち歩いている。と言っても、バッグにキーホルダーのようにつけているだけなので「思いついた時にそこにある」というかんじだ。

ベビーカーのシートベルトとおもちゃをつないで、息子がなくさないようにしたり。
混んでいるフードコートで、椅子の座面に置き切れない荷物を背もたれのところにちょっと引っ掛けたり。
長距離移動のバスや飛行機でゴミ袋をぶら下げるのに使ったり。

思い出にすらならないような、地味な場面で私にラクをさせ続けてくれた特別なS字フック。縁の下の力持ちってこういうことを言うのかな。

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無印良品 『トラベルS字フック』

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