『石人形』モノローグ|語りかけてくるモノを見つめて vol.5

May 29,2020column

#monologue

May29,2020

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『石人形』 モノローグ|語りかけてくるモノを見つめて vol.5

文:
TD編集部 藤生 新

ふとした瞬間に語りかけてくる「モノ」たちがある。つい触れたくなる、誰かに伝えたくなる ー そんなモノたちと、それにまつわるエピソードを一口サイズでお届けしよう。

石人形

山口県岩国市で採れる「石人形」。
岩国市を流れる錦川に架かる名橋「錦帯橋」の付近で採れるこの石は、人の形をしていることから、子ども用の玩具、錦帯橋の人柱の生まれ変わり、お守り、和歌や漢詩の題材などとして幅広く親しまれてきた。

この石の面白さは、それを作ったのが「人間ではない」ということ。その作者は、錦川に生息するニンギョウトビゲラの幼虫なのだ。この石はニンギョウトビゲラが川底の小石や砂を集めて作った「巣」で、それが人の形に見えるということから「石人形」と名付けられたそうだ。

錦帯橋のすぐ近くには「石人形資料館」があり、オンラインショップがとても可愛いのでぜひ覗いてみてほしい。

石が人の形に見えるというだけのことから、さまざまな人々が「見立て」を重ねてきた石人形。僕もそれをどう「見立て」ようかと思いながら石を眺めては、せっせと働くニンギョウトビゲラのことを思い出したりもしている。

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石人形資料館 オンラインショップ 

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