ロボットは「今やっていること」が歴史になる
デザイナーを「色や形を作る人」だけと見ていたら僕はそこにはとっくにいません。本来デザイナーは「社会で流通している不自然な作法」を誰よりも感じ取り、「様々な方法で改めていく仕事」。そう考えれば僕は古典的ともいえるデザイナーの枠にいます。
ロボットじゃなくてもいい。僕たちが予測する、「ちょっと先の未来の普通の生活に当たり前にあるもの」をつくりたいんですよね。
ロボットは「未来で」評価されるものだからです。
僕は、100年早く生まれていたら車のデザインをやっただろうし、30年早ければパソコンのデザインを選んだと思います。どれも製品化されて世の中を変え、その後の100年を示すプロダクトです。ロボットは、今やっていることが歴史になる。だからこの仕事がおもしろい。
こういった新しいジャンルそのものをつくるデザイナーも、これからもっと出てくると思うんですよ。

音と光で意思を表す装置の研究用プロトタイプ。
(フラワー・ロボティクス社HPより)
「技術から見える未来」の中に
ロボットかバイオテクノロジーですね。
バイオテクノロジーもすごく発展している分野で、これからどんどんプロダクトレベルに落ちていくでしょう。そうなったらバイオとデザインの関係はもっと密接になってくるでしょう。
経済の仕組みも変わってくるだろうし、今の世の中にないものが出てくると思います。実際に今、バイオベンチャーと取り組んでいることもあるんですが、例えばコンピューターのチップなどにバイオテクノロジーの技術を応用した設計が施されたりね。
そういう「技術から見える未来」の中で、僕たちが生きている間に利用できる部分との接点をどこに見出すか。そこが見えた時、面白い製品が見えてくるんですよね。
それはたぶんコンピューターとか「今、当たり前に私たちの暮らしの中にあるもの」を作った人が乗り越えてきたプロセスと変わらないと思うんです。



