お客様に提案したいのは「本の購入」よりも「ライフスタイル」
そうですね。毎回、そのテーマの車両が連続して入ってくるのが面白いですね、本当に。普通だったら博物館やイベントでしか出会えない、それも1台しか見られないようなクルマがずらずらと列をなして来るんです。不思議な光景ですよ。
びっくりするようなクルマがきてくれたこともあります。
例えば、2016年11月に開催した、ディーノを集めたディーノ・クラシック・ウィークエンド2016の時。雑誌のカー・マガジンさんとの協力で開催したんですが、そのときにマクラーレンF1に乗っていらしたお客様がいたんです。ディーノが20台以上集まって、それだけですごい風景だったのに。
あの時は盛り上がりましたね。もちろんディーノも年度順、モデル順で並べて圧巻の光景でしたが、さすがにマクラーレンF1が現れた時は信じられなかったです。
後で調べたら、富士スピードウェイでマクラーレンが集まるイベントがあったみたいで、そのついでに寄っていただいたみたいです。

(写真提供:代官山 蔦屋書店 クルマ・バイクコーナー)
CCC全体がカーライフに注力してきているということもあるかもしれません。
「ライフスタイルの提案」を掲げて代官山T-SITEが構想され、その中に「カーライフ」もあった。代官山 蔦屋書店は今オープンして7年、もうすぐ8年目を迎えますが、この「ライフスタイルの提案」がコミュニティに発展してきたという実感がありますね。
「出発点になる本屋」を目指して
例えば、ニューヨークに行こうと決めたら、本を読む人は多いと思います。そこで我々のコンシェルジュが持っている経験や知識を活かして、「ニューヨークに行くんだったらこんな感じの道具を持っていくと良いよ」とか、「こんな服が良いよ」と提案する。
商品が書籍なのかグッズなのかといった垣根を越えて、いろいろな提案をしていくのがうちなのかなあ、という気がするんです。
今でこそBOOK&CAFEや、書籍と他の商品をミックスして陳列する店は珍しくないと思うんですけど、私が記憶している限りでは、代官山 蔦屋書店がオープンした当時はこのスタイルは他にはありませんでした。
専門知識を持った人がレジをやってる書店さんはありましたが、その専門知識や経験を生かしてお客さんに「提案していく」という本屋は当時、まだあまりなかったと思います。


そうです。雑誌や書籍を通じて、まずライフスタイルを提案していく。
例えば、銀座 蔦屋書店ではアートに注力して展開していますし、柏の葉T-SITEではお子さま向けの企画に力を入れています。
それぞれのT-SITE、蔦屋書店によって、テーマが異なっていて、その地域に根ざした具体的なライフスタイルの提案をしていこうということになりつつあるのかなあという気がします。
私たちは、クルマのライフスタイルを提案していく。でもうちで全部やるのは難しいわけです。例えばまずは新車とヴィンテージがあるし。新車とヴィンテージでも、国産、輸入車の違いもあるし、軽もあるし。
じゃあどこに注力するかと考えたときに、代官山の土地柄から「クラシックのヴィンテージ」にフォーカスしてやっていこうということになりました。モーニングクルーズのテーマにそういったクルマが多いのはこういう背景があります。
最近では他の店舗でもモーニングクルーズを開催しています。
湘南T-SITEや柏の葉T-SITEでは不定期で、広島T-SITEでは毎月開催しているんですが、例えば湘南T-SITEでは「貝殻に合うクルマ」、柏の葉T-SITEでは「陽当たりの良い場所で集まりたいクルマ」みたいなコンセプトで考えることが多いみたいです。
あくまでも、それぞれの店舗がお客様に提案していくライフスタイルから考えていくんですよね。
私たちは、「生活提案をする企画会社」と名乗っています。


