世界観を保ちながら場を作るために必要なこと
だけどうまくいっているところはまだまだ一握り。世界観や一貫性を保ちながら企画を成功させる秘訣はなんですか。
「トライアンドエラー」。これしかないと思います。
例えば私と編集部の皆さん一人一人が「マクラーレンを紹介して」と言われたら、みんな違うアプローチで紹介するはずなんです。
三者三様で伝え方が違って、正解はない。それぞれ、どう伝わるかもやってみないとわからない。ここで大事なのは、うまくいかなかった時に「ダメだった」で終わらせないことなんです。
こう伝えたけど駄目だった。それじゃどうすれば伝わるんだろう、と考えてみる。言葉一つ、媒体一つの違いで流れは変わるので、それを模索していくしかありません。
行って戻って、また別の道を行く、違う流れを作る。この繰り返しなんですよね。
今はスピードが重視される時代だから、「次失敗したらもう撤退だ」と判断されることも多いですよね。
でもそれって機械がやることであって、人間がやることはもっと他にあると思うんです。
もちろん、振り返りは毎回やります。まず売り上げを見る。売り上げがよくても、果たしてそれがお客さんにちゃんと伝わったかどうかを考える。たった1人の意見だとしても、企画者の意図が伝わらなかった、という声が聞こえればそのことをまずは受け止めます。1人がそう言うなら多分100人には伝わってないですからね。
「数字」と「気持ち」の両面でなるべく広く振り返りをしていって、どうやったら一目で見て伝わるかを模索しています。

正直何もないんです(笑)。とにかく日曜の朝、早起きできたら覗きに来て欲しいです。思ったより垣根は低いので、知らない人ばかりだとしても、1人だとしても、ぜひ一度来てみてその世界、空気を味わってもらえたらと思います。
見るだけじゃなくて、音やにおい、乗っている人たちの表情も含めて、その場に行くと分かることって結構、あると思います。
これはクルマの本に関しても同じ。
もしクルマに興味を持ったら、まずは一度こんな本があるんだ、こんなに本があるんだって見に来てほしいですね。国内外の古い本から新しい本まで、ここまで幅広く扱っているのは多分うちぐらいしかないという自負はあるので、きっと発見があると思います。
「楽しさ」というキーワードが何度も出てきたことが意外でもあり、新鮮でもありました。楽しさを伝えるためにはまずは自分で楽しむところから。今後も清野さんたちの企画を楽しみにしています。
代官山 蔦屋書店
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清野 龍太(せいの・りゅうた)
代官山 蔦屋書店 クルマ・バイクコンシェルジュ。 2001年に多摩大学を卒業後、リサーチ会社を経てクルマとバイクの専門書店「リンドバーグ」へ。その後2011年オープンした代官山 蔦屋書店のコンシェルジュとなり今に至る。愛車は中学生から憧れたランチア・デルタ・インテグラーレ。そのハンドルを握って走っているのが自分にとって大事にしたい時間。1978年生まれ。


