【連載】代官山 蔦屋書店 モーニングクルーズ誕生秘話(後編)世界観を作り上げるには「トライ&エラー」しかない

Jan 25,2019interview

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Jan25,2019

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【連載】代官山 蔦屋書店 モーニングクルーズ誕生秘話(後編) 世界観を作り上げるには「トライ&エラー」しかない

文:
TD編集部 青柳 真紗美

代官山 蔦屋書店「クルマ・バイクコーナー」の清野龍太さんへのインタビュー。後編では「モーニングクルーズ」をはじめとする「企画の生み出し方」にフォーカスしました。「モノを売る」のではなく、「場の提供」が自分たちの強みだという清野さん。そこには「活気のない百貨店」と「想いのこもった専門店」の違いがあるといいます。店舗経営やコミュニティ運営に関わる全ての方、必見の内容です。

世界観を保ちながら場を作るために必要なこと

「場の提供」や「体験の提供」は、デザイナー界隈でも「モノからコトへ」といった表現で注目され続けている分野です。
だけどうまくいっているところはまだまだ一握り。世界観や一貫性を保ちながら企画を成功させる秘訣はなんですか。

「トライアンドエラー」。これしかないと思います。
例えば私と編集部の皆さん一人一人が「マクラーレンを紹介して」と言われたら、みんな違うアプローチで紹介するはずなんです。
三者三様で伝え方が違って、正解はない。それぞれ、どう伝わるかもやってみないとわからない。ここで大事なのは、うまくいかなかった時に「ダメだった」で終わらせないことなんです。

こう伝えたけど駄目だった。それじゃどうすれば伝わるんだろう、と考えてみる。言葉一つ、媒体一つの違いで流れは変わるので、それを模索していくしかありません。
行って戻って、また別の道を行く、違う流れを作る。この繰り返しなんですよね。

今はスピードが重視される時代だから、「次失敗したらもう撤退だ」と判断されることも多いですよね。
でもそれって機械がやることであって、人間がやることはもっと他にあると思うんです。

そういった振り返りは、1回ずつイベント後にやるんですか。どういった観点で見るのでしょうか。

もちろん、振り返りは毎回やります。まず売り上げを見る。売り上げがよくても、果たしてそれがお客さんにちゃんと伝わったかどうかを考える。たった1人の意見だとしても、企画者の意図が伝わらなかった、という声が聞こえればそのことをまずは受け止めます。1人がそう言うなら多分100人には伝わってないですからね。
「数字」と「気持ち」の両面でなるべく広く振り返りをしていって、どうやったら一目で見て伝わるかを模索しています。

最後に、モーニングクルーズに行ってみたい!という人に向けて、アドバイスや心構えがあれば教えてください。

正直何もないんです(笑)。とにかく日曜の朝、早起きできたら覗きに来て欲しいです。思ったより垣根は低いので、知らない人ばかりだとしても、1人だとしても、ぜひ一度来てみてその世界、空気を味わってもらえたらと思います。
見るだけじゃなくて、音やにおい、乗っている人たちの表情も含めて、その場に行くと分かることって結構、あると思います。

これはクルマの本に関しても同じ。
もしクルマに興味を持ったら、まずは一度こんな本があるんだ、こんなに本があるんだって見に来てほしいですね。国内外の古い本から新しい本まで、ここまで幅広く扱っているのは多分うちぐらいしかないという自負はあるので、きっと発見があると思います。

ありがとうございました。
「楽しさ」というキーワードが何度も出てきたことが意外でもあり、新鮮でもありました。楽しさを伝えるためにはまずは自分で楽しむところから。今後も清野さんたちの企画を楽しみにしています。

代官山 蔦屋書店
〒150-0033 渋谷区猿楽町17-5
電話:03-3770-2525
営業時間:7:00〜26:00 年中無休(※2階は9:00より営業。一部フロアは異なります)
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清野 龍太(せいの・りゅうた)

代官山 蔦屋書店 クルマ・バイクコンシェルジュ。 2001年に多摩大学を卒業後、リサーチ会社を経てクルマとバイクの専門書店「リンドバーグ」へ。その後2011年オープンした代官山 蔦屋書店のコンシェルジュとなり今に至る。愛車は中学生から憧れたランチア・デルタ・インテグラーレ。そのハンドルを握って走っているのが自分にとって大事にしたい時間。1978年生まれ。

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