【連載】アクシスと考えるこれからのデザイン(後編)どこからどこまでが「デザイン」なのか?

Feb 22,2019interview

#AXIS

Feb22,2019

interview

【連載】アクシスと考えるこれからのデザイン(後編) どこからどこまでが「デザイン」なのか?

文:
TD編集部 藤生 新

連載でお届けしている、デザイン誌『AXIS』編集長インタビュー。後編は前編集長・石橋勝利(いしばし・かつとし)さん。20年間務めた編集長時代、大切にしていたことを聞きながら「デザイン」という言葉をめぐる石橋さんの思いにフォーカスしました。

成果物ではなく、デザイナーが関わっていく可能性のあるものを

まだ「デザイン」とは思われていないけれど、これはそうだよねという領域はありますか?

社会システム全般に関わる人を「デザイナー」と考えることはできると思います。 かつて東大の先端科学技術研究センターを特集したときには、そこにはいわゆるデザイナーがいない代わりに「マッドな研究者」たちがいて(笑)、世の中にはまだ知られていない面白いことがたくさんあった。それを伝える人としてもデザイナーが関われるという発想はありましたね。デザインエンジニアの山中俊治(やまなか・しゅんじ)さんとお話したときも、「あそこは宝の山だ」とおっしゃっていました。

つまり『AXIS』として、デザイナーが関わった成果物を紹介するのではなくて、これから関わっていく可能性のあるものを紹介するのも面白いんじゃないか、と考えていたんです。

経営者がデザインの価値をもっと理解していればそれらの素晴らしい技術を外に伝えることができるんじゃないか、とも思っていました。たとえば企業の研究所にも、ノーベル賞レベルの研究をしている人がいる。そこにデザインが関わっていくことで、もっと世の中に認められていくことができるはずです。
そして、そういう状況は今も色々なところにあるような気がしますね。

『AXIS』はデザインに興味がない読者に向けても発信していたということなんですね。

興味がないというか、デザインを知らない人々も読者として意識していました。
学生にしても美術大学だけでなく一般大学の学生にも読んでもらいたかったし、デザインだけでなく、エンジニアや研究者、ビジネスといった分野の人々も。

アクシスの企業コンセプトに「デザインのある生活と社会」という言葉があります。これを体現するためには「デザイナー」と呼ばれる人々以外にもアプローチしていく必要がありますね。

そうですね。
アクシスの設立は1981年ですが、当初は「デザインのある生活」と言っていました。当時は「デザイン」という言葉がまだ一般的ではなく、デザインの存在や概念自体を提案していくことが役割だったんです。

現在、デザインという言葉がかつてより広まっている中で、デザインの役割も拡張し、アクシスの仕事も多様化してきました。
デザインの役割は、人と物事をより良いカタチでつなぐことにあります。人と衣食住をデザインでつなぐと、デザインのある生活が生まれます。そこから発展して、さらに人とビジネス・環境をデザインでつなぐと、「デザインのある社会」が生まれる。そこを目指そうということで「デザインのある生活と社会」という現在の企業理念につながっていきました。『AXIS』もそのコンセプトを体現しようと試みてきました。

このアクシスビルにも、そのコンセプトが反映されていますね。六本木は感度の高い人も多いので、「遊び場」として実際にここを訪れてみると楽しいと思います。

そうですね、オフィスの入口なので少し入るのに躊躇するかもしれませんが、『AXIS』の表紙になれる撮影パネルもあるので、どなたもそこでデザイナーになっていただけるということで(笑)。
また、ギャラリーでは今まさに卒展シーズンですので、ぜひそちらも実際にご覧いただければと思います。

「いつか『AXIS』の表紙に載りたいという夢があった」というデザイナーも。
ありがとうございます。
今日は『AXIS』でのお仕事や「デザイン」という言葉をめぐって、いろいろなお話を詳しくお聞きすることができました。個人的には、「デザイン」という言葉はまだ拡がりもするし、限界もあるのだという話題を具体的にお伺いできたことがとても興味深かったです。
今日のインタビューではとてもたくさんの「デザイン」という言葉が飛び交いましたが、それぞれが微妙に内容が異なり、また肯定的な意味でも否定的な意味でもあり、そういう意味で「これからのデザイン」を考える上でとても重要なお話がお聞きできたと思います。これからもアクシスの活動を楽しみにしています。

<AXIS Galleryで開催予定の卒展一覧 ※記事公開日以降>

武蔵野美術大学 視覚伝達デザイン学科 2018年度卒業制作 選抜展「shide CONTACT 2019」 (2019年2月21日(木)~ 2月26日(火))

武蔵野美術大学 基礎デザイン学科 卒業制作展「CHALLENGE -Graduation Show-」 (2019年3月2日(土)~ 3月5日(火))

静岡文化芸術大学 有志卒業制作展「Re:STEN TOKYO 2019」(2019年3月8日(金) ~ 3月10日(日))

石橋勝利(いしばし・かつとし)

大阪外国語大学アラビア語学科卒業後、メーカー勤務を経て、1996年株式会社アクシスに入社。1998年デザイン誌『AXIS』編集長に就任。2017年より同誌統括を務める。

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